浮世をば 楽しみ尽くせ 病さえ 

2016.10.18

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平成18年10月4日

青空浮世乃捨

 前にも述べましたが、平成18年(2006年)7月18日の診察において、出浦先生より「糖尿病と高血圧症は治った」との宣言を頂戴しました。糖尿病も高血圧症も、一度薬を使い出したら一生使い続けなければならないと思い込んでいましたが、全く薬を使わなくなって数ヶ月経っても、血糖値も血圧も正常の範囲を維持しています。糖尿病と高血圧症は、本当に治ったのかもしれません。「こんなことってあるのだろうか」と半信半疑でもありましたので、そんな話を先生に話したところ 「生活習慣病だから、生活習慣を改善すれば治ることはある」とのことでした。

 「私と同じような体験をしている人が多いと思うので、この

体験を独り占めしないで、冊子にでもしてみたいと思う」と先生に話したところ、先生は 「是非、本にしてほしい。医師などの専門家ではない患者がそのような本を書くことは、大変意義のあることだ。是非出版されたい。医学的なことについては、私たちスタッフが応援しましょう」と言ってくれました。

まず 『生活習慣病は治る― 私たちはこうして糖尿病と高血圧症を治した 』という本を、妻と2人で共著することに決めました。

糖尿病も高血圧症も、その治療方法は、基本的には食事療法

です。患者1人では、なかなか食事療法を完全にやり遂げることはできません。家族、特に妻の協力がなければできないことです。

妻は、食事療法に関する本を買い漁り、食料を量る秤を買い、本と秤を見比べながら、微に入り細にわたり、食事療法を徹底しました。

その結果、丸1年間で糖尿病と高血圧症の完治宣言を受けることができました。

今、妻と2人でそれまでの体験談を書いています。朝・晩、自宅のミニ体育館を各1時間ずつ歩きます。私が歩きながら喋ったものを、妻が書き取ります。1周40歩のミニ体育館をグルグル歩いていると飽きてきて仕方ないのですが、喋りながら歩いていると、1時間があっという間に経ってしまいます。

「そういえば、こんなこともあった」とか 「あんなこともあった」と2人で話していると、実に楽しくなります。病気の話をしているようではありません。まるで共通の趣味について話し合っているような、楽しい楽しい時間となっています。そこで、

 浮世をば 楽しみ尽くせ 病さえ

の一句が浮かびました。この一句が生まれるについては、

NHKがかつて放映した著名人の対談映像の再放送が『 あの人に会いたい』とかいう題名で放映されていますが、少し前に年を取った高僧が 「人生は、息を引き取る瞬間まで楽しまなければならない」と言っていた姿に接したことにもあります。

私は、糖尿病と高血圧症は完治した旨宣言されましたが、腎不全は治る病気ではなく、生涯この病気とは付き合わなくてはなりません。

幸い、今は出浦先生の指導による食事療法で透析もしないで済んでいますが、いつかは透析が必要な時期が来るだろうと考えています。

「その時期が来たら 『私はこうして透析を延ばしました 』という本を発行しよう」と、妻と話し合っています。こうなってくると、透析さえ待ち遠しい気持ちになってくるから不思議です。

妻は 「透析するようになったら、私の2つある腎臓のうちの1つをあげるから、生体移植をしましょうよ」と言ってくれています。

「そうなったら 『私たちはこうして一心同体となった』という本を書こうか?」などと話して笑っています。

誰だって、年を取れば衰えます。病気もします。そのとき、ただ落ち込むだけでは年寄りの未来はありません。どんどん暗くなっていくだけです。

年を取って身体が弱るのは仕方のないことです。そうなったら、それを上手に利用して楽しむことを考えなければならないと思います。

前述の老高僧は 「人生は、息を引き取る瞬間まで楽しまなければならない」と話していましたが、そこまでの心境に至るのは大変な修行を必要とするのかもしれません。しかし、病気を得たと言って落ち込んでいては、年々加齢して行く身にとっては先々に何の楽しみも見つけ出せません。

私は、2年ほど前に「透析しなければならなくなるかもしれない」と言われたときには大変落ち込み、ウジウジし、不眠症に陥ったほどでした。ところが 「もう透析をしなければならない」と決断したときには、ウジウジした気持ちは吹っ飛び、週3日間、1回に4~5時間を要する透析の時間を、これまで書きたかったことを書く時間に宛てようと決めた瞬間に、目の前がパッと明るくなりました。

糖尿病と高血圧症のために食事を制限されてからは、何を食べても美味しくて、今年の1月号(第189号)の事務所便りで「米旨し 野菜も旨し ダイエット」という川柳を詠むほどでした。

「災い転じて福」です。病気になれば誰だって落ち込みますが、悪いことばかりではありません。病気になったために、新しい道が開けることもあります。

これは病気に限ったことではないと思います。最近税務調査を受けましたが、これによって仕事の仕方などを根本的に見直す機会を得ることができました。世間では、税務調査といえば敬遠されがちですが、自分の仕事を見直すにはよいチャンスを与えられているとも思われます。とにかく、人生は楽しまなければ損です。

この浮世の全てを楽しみ尽くさなければ、生まれてきた甲斐がありません。そこで、

浮世をば 楽しみ尽くせ 病さえ

ということになります。

みのる法律事務所便り「的外」第198号 平成18年10月より抜粋

                 著 千田 實 弁護士

 

 

千田 實 弁護士の的外れ 

2006年10月号 より

著者プロフィール

弁護士 千田 實 氏(ちだ みのる)

みのる法律事務所 所長

雅号 青空浮世乃捨 

 

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メディカルフードサービスとのつながり〜

MFSも賛助会員として参加しているNPO法人食事療法サポートセンターの理事として千田實先生も活動されております。

当社代表 松島は千田實先生の著書を読み、深く感銘を受け、少しでも多くの方に食事療法を長く続けて欲しいと思いニュースレターに抜粋記事として掲載していきます。

千田先生についてさらに詳しくはこちら→ http://www.minoru-law.com/profile.html

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