糖尿病性腎症を進行させないための食事療法

2021.02.09

糖尿病
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糖尿病性腎症とは、糖尿病が原因となって発症する進行性の腎症で、透析導入原因疾患の第1位で、その41%を占めています。

一般的には尿たんぱくがでていないか、血液検査項目の糸球体ろ過量(eGFR)の数値をみるなどして腎機能を確認します。ただ、早く見つかれば早く治療ができるため、尿たんぱくの出現より早期に見られる「微量アルブミン尿」が糖尿病腎症の早期診断には有用といわれています。なかなか、腎臓病内科にかかることができなくて、気付いた時には進行していた…ということを防ぐためにも、定期的な検査をしましょう。

糖尿病性腎症の食事療法は、血糖コントロールに加えて、タンパク制限・塩分制限・カリウム制限…制限ばかりで何も食べられないのではと不安ですよね。今回は糖尿病から腎症にならないために、なってしまったときの食事療法についてです。

 

 

糖尿病性腎症の食事解説

 

糖尿性腎症の食事療法は、あなたの状態・病期に合わせた「炭水化物・タンパク質」等の制限が必要です。どちらかを制限するのではなく、病期に合わせて、制限する栄養素の比率を変えていくという方が正しいでしょう。それでは食事ポイントを解説していきます。

 

ポイント1:必ず減塩(1日6g未満)を!

 

血糖コントロールや血圧が良好でも塩分が過剰になると、糖尿病性腎症を発症するといわれています。しっかりと「減塩」をしましょう。

 

 

ポイント2:カロリーはどれくらい摂っていいの?

 

まずは糖尿病の食事療法で指示を受けていたエネルギー量と同じくらいの量で調整しましょう。

ただ、むくみが出始め、腎不全に近い状態の場合はタンパク質の制限が厳しくなりますので、エネルギーは少し増量する必要があります。

 

 

 

ポイント3:タンパク制限は必要なの?

 

腎機能が低下している全ての方が必要というわけではなく、進行具合によって異なります。しかし、どちらにしても過剰摂取はNGです。

例えば、1日1600kcalの食事制限が出ている場合、タンパク質は52~80g/日程度が目安となります。

腎臓病が進行している場合はタンパク質を制限しましょう。体重(kg)×0.8g/日=1日の摂取タンパク質量(g)くらいが目安になります。体重が50kgある方でしたら、タンパク質40g/日ですと、制限食といえるでしょう。ただ、ご高齢の場合や小食の方の場合、制限のし過ぎは逆効果になる恐れもあり、高齢者のタンパク制限に関しては一律にするべきなのか議論がされています。

病院でタンパク制限が必要と言われた、あきらかにむくみがある、糖尿性腎症の病期が3期以上の場合は、医師の指示に従いタンパク制限を始めましょう。

 

*糖尿病性腎症第3期の目安*

・アルブミン尿が300mg/gCr以上

・持続性たんぱく尿0.5g/gCr以上

・eGFR 30以下は腎不全期4期

 

 

ポイント4:カリウムの制限は必要?

 

カリウムやリンの制限は腎機能が低下した人が全て行わなければならないというわけではありません。

カリウムは血圧を下げるために必要な栄養素です。腎不全期の場合は、尿量低下によってカリウムが体に溜まりやすい状態の為、1500mg/日未満の制限をしますが、糖尿病性腎症3期より前で高カリウム血症等でない場合、過度な制限は不要です。

 

 

ポイント5:血糖値も気になるし、炭水化物はどうしたら良いの?

 

糖尿病性腎症2期までは、厳格な血糖コントロールを行い炭水化物の摂り過ぎに気を付けながら食事療法を行いましょう。

糖尿病性腎症3期以降はタンパク制限を本格的に行うため、タンパク質を制限した分のエネルギーをそのほかの炭水化物や脂質でエネルギーを補う必要があります。炭水化物に関しても今までの「制限」を「適量摂取」くらいの量に変更する必要があります。

とはいっても量を増やすのは心配。少しでも血糖値への影響を少なくするために「食べる順番」「よく噛んでゆっくり食べる」など食事内容以外のことにも気を付ける事で少しでも血糖値への影響を少なくしましょう。

 

さて、いかがでしたか。糖尿病性腎症の食事療法は腎臓病の進行度や糖尿病の血糖コントロールの状況など個々によって指示栄養量は異なります。まずは、自分が糖尿病性腎症のどのステージにいるのか進行度を把握して、病期に合った食事療法を行いましょう。また、糖尿病性腎症は「早期」の場合、食事療法などの治療で機能が改善するといわれています。検査を定期的に行うことと、腎機能の低下がみられた場合、まずは「減塩」から始めてみましょう。

 

 
 

情報提供元:メディカルフードサービス 管理栄養士

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