いなべん(田舎弁護士) みのる弁護士法律事務所  「的外れ 2014年9月号より」

2018.02.23

「⻑⽣きを楽しむコツ その4-暇を楽しむ」③

  私は、平成23(2011)年3月末から人工透析療法に入りました。週3回、1回4時間の人工透析でした。管でつながれたまま、4時間ベッドの上でじっとしていなければなりません。最初の数回は、時間が経つのが遅くて遅くて気が狂いそうでした。透析室の壁の丸い大きな時計に目が吸い付けられていましたが、時計の針はほとんど進みません。何もすることなく4時間も過ごすことは、想像する以上に苦痛でした。憲法第18条には、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」とありますが、犯罪も犯していないのに、苦役に服しているという感じでした。

 事務局がそのような私の姿を見て、「透析時間中は本を読まれたらいかがですか」と言って、釈迦や孔子の本を買ってくれました。それを読み始めたところ、面白くなり、4時間の透析時間が短くなってしまいました。私は、それまでは法律の本以外ほとんど読んでいませんでしたので、釈迦や孔子の教えは、乾いたスポンジに水を注いだように染み込んできました。週3回、1回4時間の透析時間が待ち遠しくなりました。来客はない、電話は来ない、誰にも気を遣わず、釈迦と孔子の本を読むことができました。「この先をもう少し読みたい」と思っているうちに、透析が終わってしまうという状態になりました。

 

~つづく~