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いなべん(田舎弁護士) みのる弁護士法律事務所  「的外れ 2014年9月号より」

2018.04.20

健康バランス食
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「⻑⽣きを楽しむコツ その4-暇を楽しむ」⑤

 

 前記『旺文社全訳古典撰集 徒然草』の「妙にわれながらばかばかしい気持ちがすることである」との訳の真意は、「何の報いもないことにこんなに熱中するなんて、自分はばかばかしい存在だ」と自己に対する反省と謙遜の気持ちを表したものとも取れます。しかし、兼好法師は熱中したのです。兼好法師の随筆は第243段まで続きました。旺文社の訳はそれを知った上で、兼好法師は反省と謙遜の気持ちを込め、抑えた言い方をしていると解釈したのでしょう。私も書いている時は楽しくて仕方がないのですが、その心を隠して、周囲に対しては「誰も読んでくれないことを、ばかばかしくもやっている」と言うことが少なくありません。

 

 ばかばかしいこととは、「やらなければならない義務などないのに、勝手にやっている」ということを言うのでしょうが、受験に合格するため、やりたくもない勉強をしたり、生活のため、子育てのため、上司の嫌みにも耐え、ひたすら働かなければならない若い時代に比べ、老後は何といい境遇なのでしょうか。「♪ばかばかしい人生より、ばかばかしいひとときがうれしい♫」と、小説 家・作詞家・作曲家のなかにし礼氏(1938 年-)が『時には娼婦のように』(1978年)の歌詞の中に書いていますが、ばかばかしいことにたくさんの時間を割くことができるのは、老人の特権です。よくよく考えますと、生活のためには仕方がないのですが、短い一生の中で本当にやりたいことにどれほど多くの時間が取れているのでしょうか。ばかばかしい人生です。せめて老後になったら、本当に楽しいばかばかしいことをしたいものです。「ライフワーク」というのは、長い時間をかけて見つけた、本当にやりたい仕事ではないでしょうか。

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