体に良いのはどっち?飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いとはたらき

2019.07.16

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油=体に悪いものといったイメージがありますが、油の種類によっては体に良いはたらきをするものがあります。それは『脂肪酸』の組成が異なるためです。

脂肪酸とは脂質を構成している重要な成分で、大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いとは一体何なのでしょうか。また、どちらの方が健康に良いのでしょうか。

 

 

飽和脂肪酸とは

 

飽和脂肪酸とは、肉の脂身や鶏皮、ベーコン、ソーセージ、バター、生クリーム、ラードなどの動物性脂肪に多く含まれます。これらの多量摂取はLDL(悪玉)コレステロールを増加させます。また、飽和脂肪酸を多く含む食品はコレステロールも多く含んでいることが多く、控えたい脂肪酸といえます。

 

 

不飽和脂肪酸とは

 

不飽和脂肪酸は数種類あり、オメガ〇系もしくはn-〇系脂肪酸といった言葉で分類がされます。今回紹介するn-9・n-6・n-3系脂肪酸ともLDLコレステロールを増加させない作用があります。しかし、はたらきや効果が若干異なるため紹介していきます。

 

 

n-9系脂肪酸を多く含む油

 

オリーブオイルには酸化や加熱に強いオレイン酸というn-9系脂肪酸が多く含まれています。オレイン酸は酸化に強いため炒め料理に使用するなど加熱調理に向いています。また、LDL(悪玉)コレステロールを増加させず、HDL(善玉)コレステロールを低下させないはたらきがあります。

 

n-6系脂肪酸を多く含む油

 

大豆油コーン油サフラワー油などの食用調理用の植物油に多く含まれるリノール酸というn-6系脂肪酸は、LDLコレステロールを増加させないはたらきがありますが、摂りすぎると炎症症状を悪化させるおそれがあるため、風邪や発熱、感染症、けがなど炎症反応がある場合は気を付けましょう。

 

 

n-3系脂肪酸を多く含む油

 

アマニ油えごま油(しそ油)に多く含まれるαリノレン酸、また青魚に多く含まれるEPA・DHA・などの脂肪酸はn-3系脂肪酸といいます。n-9系やn-6系脂肪酸よりもLDLコレステロールを増加させない、血中中性脂肪を低下させる、血栓をつくらないようにするなど様々なはたらきがあり作用も強く、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化性疾患の予防や、皮膚の健康維持など様々な良いはたらきをします。

ただ、酸化しやすく加熱に弱いのが難点です。そのため、アマニ油やえごま油を使う際は加熱せず、そのままサラダやカルパッチョにかけて使うのがオススメです。また、開封後は1カ月目安に使い切りましょう。最近では加熱してもn-3系脂肪酸が減らないように作られているものも販売されているようです。ぜひお近くのスーパーで探してみてください。

 

また、オリーブオイルに含まれるオレイン酸は体内で合成することができますが、n-6系脂肪酸のリノール酸、n-3系脂肪酸のαリノレン酸・DHA・EPAは体内でつくることができない必須脂肪酸であるため食事から摂ることが必要です。

 

 

健康に良い油は不飽和脂肪酸!

 

同じ脂肪酸でも「飽和脂肪酸」か「不飽和脂肪酸」かによってはたらきが異なることが分かりましたね。そして、不飽和脂肪酸の方がコレステロールを増加させない、など総じて健康に良い影響があることもわかりました。

 

簡単に実践!「脂肪酸」に気を付ける方法

 

ご家庭で手軽に脂肪酸の質に気を付ける方法をご紹介します。

 

<スクランブルエッグ> バター+卵⇒オリーブ油

今まで飽和脂肪酸を多く含む「バター」を使ってスクランブルエッグなどのお料理を作っていた方はそれをオリーブ油に変えてみるとよいでしょう。

 

<サラダ> 野菜+ハム鯖缶

野菜サラダに飽和脂肪酸を多く含むハムやベーコンを入れていた方は、不飽和脂肪酸のn-9系脂肪酸を多く含むオリーブ油をかける、もしくはn-3系脂肪酸を多く含む亜麻仁油やえごま油などをかけても良いですね。味気が足りないという方は、n-3系脂肪酸を豊富に含む鯖缶などを味付けに入れてみてください。

 

 

そして最後に、今回油の話をしましたが、脂肪酸組成やはたらきは違いますが、大さじ1杯(12g)=111kcalというのはどの油でも変わりません。そのため、いくら健康に良い油だとしても、摂りすぎるとカロリーオーバーになるため注意しましょう。

 

 

 

 

情報提供元:メディカルフードサービス 管理栄養士

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