「よく噛まないと太る」は本当?
2016.10.24
ごはんは「しっかり噛んで」食べていますか?
食事はよく噛んで食べましょうと一般的にいわれていますが、なぜ「よく噛んで」食べないといけないのでしょうか。
「よく噛むことで食事量15%減!」
食事中、普段からよく噛むことで痩せる。というのは有名な話だと思います。最新の研究結果から、噛む回数を増やすことで食事量を15%減らすことができることが分かっています。つまり、食事量を減らすことで、体重をよりコントロールしやすくなるのです。
「よく噛まないと太る」は本当?
噛む回数を増やすと唾液の分泌が良くなり、「お腹いっぱい」と感じて、自然にカロリーを押さえることができます。また「噛む」という動作だけでもエネルギーを消費します。また、よく噛むことで脳内に産まれる「ヒスタミン」には、満腹中枢を刺激して食欲を抑える効果があるだけでなく、脂肪をエネルギーとして燃焼させる作用もあります。さらに、よく噛むことで、食事誘発性体熱産生は大きくなります。そのため、噛むだけで消費エネルギーを大きくすることができ、基礎代謝もアップさせることができます。
「虫歯予防や老化防止など優れた効果が!」
唾液がたくさん出ることによって「虫歯を予防」する効果もえられます。虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌によって起きますが、唾液には虫歯菌が作る酸を薄める働きがあります。
よく噛むことで唾液の分泌がよくなり、唾液に含まれる免疫物質が細菌を減少させるため、口腔内の清潔が保たれ、むし歯や歯周病の予防につながります。
こちらは一例ですが、アメリカの裕福な時計商であったホ―レス・フレッチャー氏は、美食好きの生活が災いして半病人の体になってしまいましたが、食べ物をドロドロになるくらいまでよく噛んで食べるようにしたところ、半年ほどで普通の人よりも元気になったそうです。フレッチャーはこの自分の経験から本を執筆し、フレッチャーイズムは世界中に広まりました。日本では『完全咀嚼法』という書名で和訳され、1940年に大日本生活協会から出版されています。
「ガンを防いだり、目を良くする効果もある」
よく噛むことによって間接的に目の筋肉を刺激し、目の筋肉の老化を遅らせる効果が期待できます。噛み砕かれることによって野菜や果物から出る、ビタミン類が発ガン物質の生成を抑制するのです。
また、記憶を司る「海馬」という部分が、「噛むことで活性化」されるため、よく噛んで食べれば、記憶力の低下など脳の老化を防ぐことができます。
「美しい小顔は、噛むことで作られる」
唾液は消化を助けたり、口の中をキレイにしたり、口内のpHのバランスを整えて雑菌などから身体を守っています。さらに唾液は若返りや美肌に効果的な美容成分が含まれている、まさに「天然の美容サプリ」です。また、噛むことにより、口の両側にある幅広い筋肉の“笑筋”と口の周りの“口輪筋”が鍛えられるため、フェイスラインを引き上げる効果も期待できます。
「噛まないことがガンや不調の原因に・・・」
噛まないで丸呑みすると、胃に大きな負担がかかるので、胃痛、胃酸の出過ぎによる胃潰瘍、胃食道逆流、胃癌の原因になりやすくなります。また、噛まないことで、顎や咀嚼筋群の発達が低下し、表情は乏しく、口がポカンと開きやすい状態になります。そうなると口呼吸となり、呼吸器系の炎症、免疫低下を引き起こしやすくなります。
噛む刺激は眠気を抑え、脳の働きを活発にし、認識力や思考力、集中力、判断力などを高めます。噛むことが少ないと、脳や視神経、中枢神経などの発達にも影響が出る可能性もあります。
「実際どのくらい噛んで食べれば良いの?」
ここまで、「良く噛むこと」についてたくさんの身体に良い効果をご紹介いたしましたが、では具体的にどれだけ噛めば良いのかということです。目安としてはできるだけ1回に口に入れる量を少なくし、1口に30回から50回噛むように心掛けると良いとされています。
しかし、数を数えながらのお食事は少し大変ですよね。そこで、魔法の言葉をご紹介します。
「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」
これをひと口食べるごとに頭の中で3回唱えながら食べると、それでひと口30回の咀嚼が達成できます。こちらは10文字の言葉でしたら何でも良いので、自分だけの魔法の言葉を作って次のお食事から1口3回ずつ唱えてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士