高齢者の低栄養予防に摂りたい栄養素

2019.08.23

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今回は特に高齢者が痩せすぎると陥ってしまう「サルコペニア(筋力低下)」「フレイル(虚弱状態)」を食事や栄養で予防する方法について紹介します。

食欲が落ちた状態が続いている、入院・退院で痩せてしまった方などはサルコペニアやフレイルに陥りやすい状態です。進行すると日常生活に大きな影響を与え、寝たきりなどの要介護状態になってしまう可能性もあります。サルコペニアやフレイルは一般に低栄養が要因となっています。

では食事や栄養では何を食べれば予防することができるのでしょうか。

 

高齢者の低栄養予防に摂りたい栄養素

 

それでは、低栄養予防に特に摂りたい4つの栄養素を紹介します。

 

 

タンパク質

 

>>肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など

タンパク質の摂取不足は骨格筋の合成低下を招き、サルコペニアの原因になります。とくに加齢に伴う骨格筋量の減少は、高齢者の筋タンパク質を合成する力が低下していることが要因になっていると考えられています。

日本人の食事摂取基準のタンパク質の推奨量は男性60g/日、女性50g/日とされています。

サルコペニアを予防し、骨格筋量を維持するためには標準体重(kg)あたり1.0~1.3g/日程度の摂取が必要です。

※標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

 

 

ビタミンD

 

>>鮭、サンマ、さば、きのこ(干ししいたけ、きくらげ)など

※ビタミンDは食事の他にも日光により皮膚で合成されます。規則正しい生活を心掛けましょう。

ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進させ、血中のカルシウム濃度を保つはたらきがあります。そのため、ビタミンDが欠乏し血中濃度が低下すると骨粗しょう症などの原因となり、骨折などを引き起こします。高齢者ではビタミンDが欠乏していることが多いです。

 

 

多価不飽和脂肪酸

 

>>青魚、ナッツ類(くるみなど)、アマニ油など

n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸に分けられる多価不飽和脂肪酸。n-3系脂肪酸であるEPA、DHAは筋肉の再生を促す可能性があると報告されています。

 

 

抗酸化ビタミン

 

>>ビタミンC、ビタミンE、カロテン類、ポリフェノール類など

酵素活性の働きを抑えるビタミンを抗酸化ビタミンといいます。具体的には、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA(カロテン類)などのビタミン類を指します。ビタミン類以外にも抗酸化作用のある成分として「ポリフェノール」があります。ポリフェノールは、苦味・色素の成分のことです。

これら抗酸化作用に関わる栄養素の摂取量が少ないと、運動機能が低下し、フレイルに陥る可能性があると報告されています。

 

サルコペニアやフレイルに有効な薬はなく、運動と栄養による予防や治療が最も有効です。また、今回紹介した栄養素を特別に多く摂取するのではなく、バランスよく食事を摂りつつ、とり入れていくことが望ましいです。

 

 

 

情報提供元:メディカルフードサービス 管理栄養士

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