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| 人工透析の食事について、ポイントとアドバイスをMFS管理栄養士がご説明致します。 | |
| MFS管理栄養士 岩切 聡子 | |
食事療法の目的
腎機能の低下が進行(糸球体濾過量が15mL/分/1.73㎡未満)していくと、透析導入が選択肢のひとつとなります。透析導入後、摂取たんぱく質、水分、塩分などを調整することによって、腎臓のさらなる悪化を抑制し、透析から次回の透析までの間の体調を整え、透析時の負担を軽減させるのが食事療法の目的です。
食事療法のポイント
| ポイント① | 体内水分を増やしすぎないための水分制限 |
| ポイント② | 水分制限のための食塩制限(塩分制限食) |
| ポイント③ | 腎臓の負担軽減のための摂取たんぱく質の適正化(たんぱく制限)と良質たんぱく質の摂取 |
| ポイント④ | 体たんぱく分解抑制のための適正エネルギーの確保(低たんぱく高エネルギー食) |
*各ポイントの食事療法のコツは↓をご覧ください*
ご家庭での透析療法中の食事療法のコツ
透析療法中のお食事は、「血液透析」と「腹膜透析」の違いによって栄養指示量が異なります。
担当の医師や栄養士と相談しながら食事療法を行いましょ
う。
ポイント① 体内水分を増やしすぎないための水分制限
- 塩分の高いものを食べると水分がとりたくなるので、減塩食をこころがける。
- 食事に入っている水分は1日約1000mL と考えられる。
- 水分の多い嗜好品(ゼリー、ソフトクリームなど)や、野菜・果物(キュウリ、スイカ、ミカンなど)を食べ過ぎないように気をつける。
- 麺類の汁はなるべく残す。
- 揚げ物や炒め物は水分が蒸発して少なくなるが、煮物は水分が多くなる。
- 透析後から次回の透析まで、体重増加を何キロまでなら可能なのかを把握し、食事由来の水分を考慮した上で、1日飲料(お茶など)を何mLまで飲めるのかを決めておく。
- 毎日体重を計り、水分をとりすぎていないかチェックする。
ポイント② 水分制限のための食塩制限(塩分制限食)
- 自身の1日の食塩の指示量を知る。(担当医や栄養士に相談しましょう。)
| 【参考】 健康な成人の食塩の食事摂取基準値(目標量) 男性:9g未満 / 日 女性:7.5g未満 / 日 血圧透析(週3回)患者の食塩制限基準値(日本腎臓病学会) 6g未満 / 日(腹膜透析患者は尿量と除水量によって異なる) |
- 食品成分表で塩分量をチェックしながら調理記録や食事記録をとる。
- 調理での味付けは、食材重量の0.7%程度の食塩を目安にする。
砂糖を増やすと塩や醤油も多く使ってしまうので、甘みも控える。 - 汁物を減らす。(1日1回、半量を1日2回…など工夫する。)
- 塩蔵品より冷凍品を利用する。
- 食卓に塩や醤油を置かない。
- 減塩醤油や割り醤油を用いる。
- 1食分の塩や醤油をあらかじめ小皿に出しておき、つけて食べる。
同じ塩分量でも、表面に味をつけて食べる方が、味を濃く感じることができる。 - 旬の食材を使い、食材本来の味を楽しむ。また、香り高い食材を生かす。
(大葉、ゴマ、みょうが、しょうがなど) - 旨味を利用する。(海藻、干し椎茸、かつおぶしなどの出汁を効かしたり、肉・魚介類の加工食品を調味料として使うのも良い)
- 酸味(レモン、ゆず、かぼすなど)や香辛料(カレー粉、こしょう、七味など)を利用する。
- 適量の植物性の油で、美味しさをプラスする。
- 和食より洋食の方が、減塩でも美味しく食べやすい。
- 外食を減らす。
| 1食分(常用量)中の食塩が多い食品 | ||||
| 食品群 | 食品名 | 目安 | 重量(g) | 食塩(g) |
| 穀類 | インスタントラーメン | 1袋 | 95 | 6.1 |
| スパゲッティ(ゆで) | 1食 | 210 | 0.8 | |
| コーンフレーク | 1食 | 40 | 0.8 | |
| 食パン | 6枚切1枚 | 60 | 0.8 | |
| 野菜類 | ザーサイ | 小1皿 | 20 | 2.7 |
| 野菜ミックスジュース | 200mL | 206 | 1.2 | |
| たくあん | 2切れ | 20 | 0.9 | |
| 果実類 | 梅干し | 1個 | 10 | 2.2 |
| 茸類 | えのきたけ味付き(瓶詰) | 1/2瓶 | 50 | 2.2 |
| 藻類 | 塩昆布 | 小1皿 | 5 | 0.9 |
| 魚介類 | さば味付け(缶詰) | 1缶 | 180 | 2.3 |
| 魚肉ソーセージ | 1本 | 90 | 1.9 | |
| さつま揚げ | 1枚 | 80 | 1.5 | |
| 辛子めんたいこ | 1/3腹 | 25 | 1.4 | |
| 蒸しかまぼこ | 2cm厚2切れ | 40 | 1 | |
| 肉類 | 焼き鶏(缶詰) | 1缶 | 150 | 3.3 |
| コーンビーフ(缶詰) | 1缶 | 100 | 1.8 | |
| ビーフジャーキー | 3枚 | 20 | 1 | |
| 嗜好飲料 | 昆布茶 | 小さじ1 | 4 | 1.9 |
| 調味料類 | 精製塩 | 小さじ1 | 6 | 5.9 |
| うすくち醤油 | 大さじ1 | 18 | 2.9 | |
| こいくち醤油 | 大さじ1 | 18 | 2.6 | |
| 赤色辛味噌 | 大さじ1 | 18 | 2.3 | |
| 麦味噌 | 大さじ1 | 18 | 1.9 | |
| ノンオイル和風ドレッシング | 大さじ1 | 14 | 1 | |
| 調理・加工食品類 | カレー(レトルトパウチ) | 1袋 | 200 | 2.6 |
| ピラフ(冷凍) | 1袋 | 250 | 2.3 | |
| シチュー(レトルトパウチ) | 1袋 | 200 | 1.4 | |
| しゅうまい(冷凍) | 6個 | 100 | 1.3 | |
| 1食分(常用量)中の食塩が多い外食メニュー | |||
| 料理名 | 食塩(g) | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) |
| かけうどん | 5.6 | 404 | 13.4 |
| チャーシューメン | 5.5 | 431 | 22.5 |
| 天ぷらうどん | 4.9 | 638 | 21.8 |
| 天津麺 | 4.6 | 680 | 31.7 |
| すき焼き | 3.8 | 668 | 28.2 |
| おでん | 3.8 | 236 | 16.8 |
| にぎりずし | 3.7 | 501 | 21.6 |
| カレーライス | 3.7 | 761 | 21.6 |
ポイント③ 腎臓の負担軽減のための摂取たんぱく質の適正化(たんぱく制限)と良質たんぱく質の摂取
- たんぱく質の高い食材、低い食材を知る。
- 食品成分表で、各食材のタンパク量を計算しながら、食事記録をとる。
- 細かい計算が難しい場合は、「肉・魚80gに約15~20gのたんぱく質が含まれている」と考える。
- 主菜以外にはたんぱく質系の食材は使わないようにすると計算しやすい。
- 野菜、きのこ、海藻類で食事のボリュームを増す。(カリウム制限がある場合は要注意)
- 良質のたんぱく質(主に動物性たんぱく質)をとるようにする。
(全摂取たんぱく質中、動物性たんぱく質60~70%が目安。) - でんぷん米、でんぷん麺、低たんぱくご飯、低たんぱくパンなどの低たんぱくの治療用特殊食品を主食に用いる。
※通常のご飯一膳(180g)には、 4.5gのたんぱく質が含まれますが、低たんぱくの食品に変えると、その分おかずに回せます。(ご飯からたんぱく質をとるよりも、主菜のたんぱく質の方が良質なので好ましい。)
ポイント④ 体たんぱく分解抑制のための適正エネルギーの確保(低たんぱく高エネルギー食)
- 脂身の多い肉や魚の部位を使う。
- 炒め物や揚げ物などの油を使う料理にする。
- 粉あめ、MCTが使われている治療用特殊食品(高エネルギーゼリーなど)を利用する。
- 低たんぱくで高エネルギーの食品をリストアップしておき、エネルギーが足りないときに利用する。
(ポテトコロッケ、フライドポテト、カ レー、大学芋、チョコレート、ジャム、果物のコンポートなど)
食事療法の一番のポイントは、長く続けることです。無理をせず、できそうなことから始めていきましょう。たまの息抜きに宅配食を利用するのも一つの手です。なお、食事療法は担当の医師や栄養士と相談しながら、進めていきましょう。
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【参考】成人の慢性腎臓病(CKD)に対する食事療法基準
(日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版」より)血液透析(HD)※週3回
| エネルギー (kcal/kg/day) |
たんぱく質 (g/kg/day) |
食塩 (g/day) |
水分 (ml/day) |
カリウム (mg/day) |
リン (mg/day) |
| 27~39 (注1) |
1.0~1.2 | 6未満 | できるだけ少なく | 2000以下 | たんぱく質(g) ×15以下 |
腹膜透析(PD)
| エネルギー (kcal/kg/day) |
たんぱく質 (g/kg/day) |
食塩 (g/day) |
水分 (ml/day) |
カリウム (mg/day) |
リン (mg/day) |
| 27~39 (注1) |
1.1~1.3 |
尿量(L)×5 + PD除水(L)×7.5 |
尿量 + 除水量 |
制限なし (注2) |
たんぱく質(g) ×15以下 |

注1)日本人の食事摂取基準2005年版と同一とする。性別、年齢、身体活動レベルにより推定エネルギー必要量は異なる。PDの場合は、透析液からの吸収エネルギー分を差し引く。
注2)高カリウム血症では血液透析と同様に制限。





