妊娠糖尿病の食事ポイント
2019.11.20
妊娠糖尿病とは、もともと糖尿病の人が妊娠したという状態ではなく、「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常」と定義されています。妊娠前に既に糖尿病と診断されている場合は糖尿病合併妊娠といいます。
妊娠糖尿病は、全妊婦の7~9%に発症しており、妊娠糖尿病の妊婦は耐糖能が正常の妊婦と比較して、将来糖尿病になる確率が7.43倍であると報告されています。また、母体が高血糖になることで胎児・新生児に合併症が生じる可能性があります。では妊娠中に糖尿病と診断された場合はどのように食事に気を付ければ良いのでしょうか。
■ 1日の必要エネルギー量
まず1日のエネルギー量を計算しましょう。
標準体重(kg)×30kcal +妊娠による付加量=1日の必要エネルギー量
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22
※肥満妊婦の方は付加量を付加しない
<妊娠による1日の栄養付加量>
付加量 | 初期 | 中期 | 後期 |
エネルギー(kcal) | +50kcal | +250kcal | +450kcal |
※糖尿病診療ガイドラインより
■ 妊娠糖尿病の食事ポイント
・3食均等に食べる
食事はなるべく時間を決めて、主食・主菜・副菜を揃え、1日の総エネルギー量を均等に分けて食べるようにすることで安定した血糖変動を目指しましょう。食事バランスガイド(農林水産省)などをみると、1日に食べる「主食、主菜、副菜」を3回分に分けるといった大まかなイメージが付きやすいです。
<食事バランスガイド>
1日3回の食事で血糖コントロールができない場合は1日の食事を5~6回に分ける分割食にすると良いでしょう。例えば朝食のごはんを半分程度、昼食前に食べるようにするなどです。
・ビタミン、ミネラルをしっかりと摂る
妊婦さんがより摂取が必要な栄養素を紹介します。
<葉酸>胎児の神経管閉鎖障害の発症リスク低減のため、妊娠初期には積極的に摂るようにしましょう。葉酸は、ほうれん草・アスパラ・春菊・モロヘイヤ・納豆などに多く含まれています。また、葉酸はサプリメントからの摂取も勧められています。
<鉄分>鉄分は時期によって付加量(初期+2.5mg、中期+15.0mg、後期+15.0mg)があります。妊娠すると循環血液量が増加することによって貧血をきたすことが多くなります。そのため、このように鉄分の付加量があります。肉・魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」は体内への吸収率が高いため、しっかりとるようにしましょう。
・外食に注意
外食は野菜が少なく油や塩分を多く使った料理が少なくありません。なるべく自炊できると良いですが、できない場合はエネルギーや塩分などが管理できている宅配食などを利用するのも一つの手です。
妊娠糖尿病で食事にお困りの方は、MFSカロリー制限食がお勧めです。エネルギーの管理・主菜1品に副菜3品と野菜もしっかりと入っており、食事の準備ができないときでもバランスの良いお食事が食べられます。糖尿病の方にも多数お召し上がりいただいております。
情報提供元:メディカルフードサービス 管理栄養士