吸収率の高いリンがある?あなたの血清リン値が高値になる原因
2019.09.13
最近リンの数値が高いと言われた・・・という方はいませんか。血清リン値が高いときは、肉・魚・卵・乳製品の中でもリンを多く含む食品の習慣的摂取やリンの吸収率が高い食品の習慣的摂取があるかもしれません。
今回はリンを多く含む食品について確認し、リンが高値の場合はなぜ高くなってしまっているのか原因を探りましょう。
早速ですが、「リン」ですが2種類あるって知っていましたか?一方は、非常に吸収率が高いので注意が必要なのです。
有機リンと無機リンとは
食品に含まれるリンには有機リンと無機リンの2種類があります。
有機リン
有機リンは肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品や豆類などの植物性食品に多く含まれています。主にはタンパク質源となる食品に多く含まれています。有機リンの摂り過ぎで血清リン値が上がった場合、タンパク質も摂りすぎている状態であるため『血清尿素窒素』も上昇します。
無機リン
ハムやウインナーなど食肉加工品、かまぼこなど練り製品、チーズ、スナック菓子、インスタント食品、ファーストフードなどの加工品や清涼飲料水などの食品添加物に含まれるリンのことをいいます。
有機リンと無機リンの吸収率の違い
有機リンと無機リンは同じ「リン」でも吸収率が全く異なります。
・有機リン・・・吸収率:40-60%
・無機リン・・・吸収率:90%以上
有機リンは腸管からの吸収率が40-60%なのに対し、無機リンは90%以上が吸収されてしまうため、高リン血症に大きく関与します。食品添加物に含まれるリンは吸収されやすいということが分かりましたね。コンビニ利用が多い方、ハムやウインナー、練り製品、チーズ、スナック菓子など加工品の使用が多い方は注意が必要です。
吸収率の高い無機リン、どのように気を付ける?
食品添加物として使用されているリンは、「リン酸塩」と書かれているものもあれば、「乳化剤」等と書かれているものもあり、どの添加物にリンが含まれているのか、どれくらい量が含まれているのかを把握をするのは難しいです。
ただ、食品添加物として使われるリンは、防腐作用、色味の保持、保存性を高める、食品を乳化させるなどの役割を担うため、多くの加工食品に使用されていることが分かります。ラーメンの麺の風味や独特のコシを出すのに欠かせない「かんすい」にも含まれているのです。そのため、対策としては「加工食品」の使い過ぎに注意すること。
また、ハムやウインナー、練り物(かまぼこ)など下茹でしてから使う、インスタントラーメンや中華麺なども一度茹でこぼして使用するとリンの量を減らすことができます。
リンが高値になる原因となる食習慣
食事以外にも原因があるかもしれませんが、腎臓病で食事療法を行っているのに血清リン値が高い場合、まずは以下の項目をチェックしてみましょう。リンが高くなりやすい食生活を送っているかもしれません。
1、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などたんぱく質源となる食品の摂取が多くないか
2、特にリンが多い、魚卵・骨ごと食べられる魚・内臓系の食品、チーズなどの摂取が多くないか
3、インスタント食品や加工品が多くないか
4、リン吸着薬はしっかり飲めているか
最後の4番は意外と重要です!処方されている方はしっかり飲みましょう。
リンが多い食品は一切食べていないのに血清リンがなかなか下がらない透析患者様がいました。栄養相談では特に問題が見つからず、医師が残薬を確認し、リン吸着薬の服薬をしていなかったことが判明しました。その方は、薬が重要だとは考えていなかったようで、飲んだり飲まなかったりの状態が続いていたようです。薬を飲み始めてからは数値がしっかりと下がりました。
薬は必ず意味があって処方されているため、自己判断で飲む、飲まないを決めないようにしてくださいね。
またリン吸着薬は、食物に含まれるリンを消化管のなかでくっつけて、体内に吸収されないようにするお薬です。食べ物とお薬が胃の中ですみやかに混ざり合うことが必要なので、必ず食事と一緒に服薬しましょう。(担当の医師や薬剤師の指示に従ってくださいね)
さて、どうだったでしょうか。リンについての知識は深まりましたか。高リン血症を予防するために食事で気を付けていきましょう。
情報提供元:メディカルフードサービス 管理栄養士