低タンパク米はこんな場合に使うべき!腎臓病食事相談室

2020.08.06

腎臓病
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腎臓病のお客様からの質問が多い「低タンパクご飯を使うタイミング」

「低タンパクご飯」は特殊な食品なので、腎臓病の食事療法を行う中で初めて知ったという方も多いのではないでしょうか。

「タンパク質を制限する」ためには絶対に必須なものと思われがちですが、病院で医師や管理栄養士に指示された1日のタンパク質摂取量やご自身の生活スタイルによっては絶対に必要なものではありません。ではどのような場合、低タンパク米を使うことが望ましいのでしょうか。

管理栄養士の立場からこんな人には低タンパク米を勧める!ということを考えてみました。

 

低タンパク米を使ったほうが良い場合

 

 

タンパク質1日30g以下など厳しい制限の場合

 

低タンパク米は、メーカーによりグラム数は若干違うもののタンパク質が非常に少ない食品です。

普通のご飯180g タンパク質 4.5g
低タンパク米(ゆめごはん)180g タンパク質 0.2g

 

ご飯を1日3食食べると13.5gになってしまい、タンパク質が1日30g程度の厳しい制限ですと、1日に食べても良いタンパク質の約半分はご飯が占めることになってしまいます。

そのため、制限の厳しい方は、普通のご飯を低タンパク米に変えることで、その分をお肉や魚などの良質なタンパク質から摂取しましょう。

 

 

食事量が少なく満足感が足りないと感じている場合

 

普通のご飯を低たんぱく米に変えることで、余った分のタンパク質を他の食品から摂れるようになります。

タンパク質制限でストレスが溜まるのが、主菜のボリュームの少なさ…

お肉や魚などメインディッシュとなるものはタンパク質が豊富に含まれるため、特に食べる量に気を付けなければならない部分です。ただ、食事のメインとなる部分でもあるので、制限するのはストレスが溜まる方も多いと思います。そこで、低タンパク米を使うことで、いつも少なく制限していたお肉や魚にその分をあてることができます。

例えば、豚もも肉で約20g、紅鮭で約18g でそれぞれタンパク質が4gになります。

食材により若干誤差はありますが、ご家庭でざっくりと換算する場合、普通のご飯を低タンパク米に変えることで、お肉や魚を20g程度は増やしても良さそうだということが分かります。

 

見た目もお腹も満足して食事をするという点で低タンパク米の活用はお勧めです。

 

 

筋肉量の低下が気になる場合

 

これは筋肉量の低下が気になる方以外にも、タンパク制限を行っている方は知っておきたい内容でもあります。

タンパク制限下では1日に摂れるタンパク質が少ないので、「良質なタンパク質」を摂っていくことが大切です。

ここでいう「良質なタンパク質」とは一体なんのことでしょうか。

 

「良質なタンパク質」というのはアミノ酸のバランスが良いタンパク質のことをいいます。アミノ酸スコアの高いタンパク質ともいいます。

アミノ酸スコアの高いタンパク質を含む食品は、肉・魚・乳製品・卵・大豆製品等です。つまり、動物性食品と大豆製品ですね。

 

一方、ご飯や野菜などに含まれるタンパク質はアミノ酸スコアが低いため、できればここのタンパク質を少しでも少なくし、アミノ酸スコアの高いお肉や魚等からタンパク質を摂取することが大切なのです。

このアミノ酸スコアが高いタンパク質は体内での利用効率が良く、余分な老廃物・毒素となるものが少ないのです。

そのため、筋肉量の低下などが気になる場合、摂取したタンパク質を効率よく筋合成に利用できるように低たんぱく米でご飯のタンパク質を減らし、その分をお肉や魚などアミノ酸スコアの高い食品から摂取するということが大切になってきます。

筋肉量の低下が気になる場合だけでなく、タンパク質の質に着目することはすべての腎臓病の食事療法を行っている方に必要なことですね。

 

 

以上のような場合は、低たんぱく米を使うことをお勧めします。

 

 

低タンパク米を使わない方が良い場合

 

 

また、最初に説明した通り、低タンパク食品は全ての腎臓病の方に必須なものではありません。低タンパク米を使わなくても良い場合もあります。

 

 

1日2食など食事量が少ない場合

 

食事量が多くない上に、ご飯を低タンパク米に変えてしまうと、逆にタンパク質量が不足してしまうことが考えられます。

1日3食十分に食事が摂れていない場合は、いくら制限が厳しくても(タンパク質1日30gなど)低タンパク米は逆効果になる恐れがあります。

 

 

腎臓は悪いがタンパク制限をするように言われていない

 

検査数値をみて、腎機能が低下しているようだ・・・

ネットでタンパク質の制限が必要と書いてあるけれどどうしたらいいのか分からない。

特に病院でタンパク質の制限が必要と言われていない方が極端にタンパク質を制限するのはちょっと待ってください!

 

また、制限をするように言われていても1日60~70g以上の制限であれば、そこまで厳しい制限ではないため、低タンパク米を使わなくても良いかもしれません。逆に制限しすぎになってしまうことが考えられますので、普段の食事をモニタリングした上で必要か否か判断しましょう。

 

タンパク質は制限すればするだけ良いというわけではありません。エネルギーをしっかりと確保した上でご自身の腎機能に合わせたタンパク質の適量摂取がポイントです。

タンパク質制限を始める場合は病院で医師や管理栄養士にタンパク質制限が必要であることを確認してから始められるのが望ましいです。

 

さて、いかがだったでしょうか。低タンパク米などの治療用特殊食品を日常的に使おうと考えている場合は使う目的や理由、本当に必要か等考えて使いましょう。

 

 

 

 

情報提供元:メディカルフードサービス 管理栄養士

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